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plus E誌 2012年6月号掲載 |
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(注:本映画時評の評点は,上から  , , , の順で,その中間に をつけています。) |
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手法はシンプルでも,全編で丁寧に片腕を消している |
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| 当初は短評欄での紹介のつもりだったが,試写を観て準メイン欄扱いで長い記事を書きたくなった。片腕のサーファーの話らしいが,この表題の意味までは知らなかった。「ソウル」といっても,まさか韓国映画ではない。鮫に襲われ片腕をなくした後,サーフィン競技会に復帰して,全米チャンピオンに輝いた女性サーファーの物語である(写真1)。本名はベサニー・ハミルトンだが,自伝のタイトルが「Soul Surfer」であり,出版後に彼女の代名詞となり,愛称となったようだ。話題性もあり,米国では数々のTV番組に出演した著名人だが,日本ではほとんど知られていない。この映画を観る前に,ここまでの予備知識をもっておいた方が,より楽しめる。
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写真1 現在のベサニー・ハミルトン。身長180cmもある。 |
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| 幼少期から数々の競技会で優勝し,将来を嘱望される少女サーファーだったが,映画の前半で早めに大型鮫に襲われ,サーフボードごと片腕を食いちぎられる。その後の応急措置や家族関係はしっかり描けているが,襲撃シーンの描写は,緊迫感もなく,想像したよりも淡泊だった。多分自伝自体の記述がそうなのだろう。では,片腕を失った後,必死のリハビリでサーフィンを再開するまでの苦闘の日々が描かれているのかと思えば,これも意外とあっさりと競技にカムバックしてしまう。実際,1ヶ月でサーフィンを再開し,たった3ヶ月で競技に復帰したという。いやはや,実話に忠実では,映画としての盛り上がり欠けているのも無理はない。
監督は,ショーン・マクナマラ。TV界が主たる活動の場のようだ。ベサニーを演じるのは,アナソフィア・ロブ。そう,筆者のお気に入り美女の1人である。少し見ない間に,随分大人になり,ふっくらしてきた。『テラビシアにかける橋』(08年1月号) から4年以上も経ち,18歳になったのだから,見違えるのも無理もない。割と小柄で,ベサニー本人とは15cmも身長が違う。随分印象が違うが,長身の女優を起用したのでは,13歳での事故のシーンは撮れないので,止むを得なかったのだろう(写真2)。両親役はデニス・クエイド,ヘレン・ハントと無難だが,親友アラナ役のロレイン・ニコルソンは,名優ジャック・ニコルソンの娘らしい。注目すべきは,友人の伝道師サラ役で,グラミー賞シンガーのキャリー・アンダーウッドが映画初出演している。出番も多く,セリフもしっかりしていて,女優としての才能もありそうだ。
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写真2 左はベサニー本人。右がアナソフィア・ロブで,これなら13歳も演じられる。 |
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さて,VFXシーンだが,主担当はEngine Room社である。当然ベサニーを襲う鮫はCG製だろうが,問題は片腕となってからのシーンだ。下にベッドやテーブルがある場面(写真3)なら,穴を空けて腕を入れれば済むが,その他の場面では,腕に青か緑の布を巻き,その部分をデジタル処理で除去する(写真4)。『フォレスト・ガンプ/一期一会』(95)のダン中尉の両脚を消して以来の伝統的手法である。背景は空絵で埋めれば良いのだが,カメラは固定でなく,微妙に移動させている場面も多々あった。後半はほぼずっとこの種の片腕シーンが登場するので,技術的にはシンプルでも,相当な作業量であったと思う(写真5)(写真6)。サーフィン競技シーン等は,ベサニー・ハミルトン自身が演じているが,顔をすげ替えたり,身長差を目出させない処理もなされているようだ。
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写真3 下にベッドがある場合は,トリック撮影も可能 |
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写真4 その他のシーンでは,常時左腕に緑色の布を着用 |
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写真5 応急処置時のシーン。なぜか,サーフボード上に影まで描き加えられている。 |
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写真6 復帰後の水中シーン。これはカメラ移動しても,背景を埋めるのは簡単。 (C) 2011 Enticing Entertainment, LLC. All Rights Reserved. |
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(画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) 注:O plus E誌の記述には誤りがあったので,本ページではそれを修正しています。 |
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