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plus E誌 2010年11月号掲載 |
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(注:本映画時評の評点は,上から  , , , の順で,その中間に をつけています。) |
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黄金コンビによる正統派の骨太歴史ドラマ
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ロビン・フッドと言えば,イギリスの森に住む弓の名手であり,タイツ姿で権力と戦う義賊で,庶民の味方だと子供の頃から知っていた。日本で言えば,鞍馬天狗か,鼠小僧次郎吉なのだろうか。海外では,怪傑ゾロと並ぶヒーローだったと記憶している。映画としては,ディズニーのアニメがあったし,ケヴィン・コスナーが演じていた記憶がある。映画データベースを調べてみたら,前者は1973年,後者は1991年の作品だった。これまでに映画だけで10本以上もあり,TVシリーズを合わせると過去30作品以上が作られている。
いつの時代の人物かよく知らなかったが,実在の人物かどうかは怪しく,中世の複数の人物の伝承が合わさって,アウトローの代名詞のようになったらしい。本作品での時代設定は12世紀末であり,日本であれば源義経が活躍した時代に近い。最近は,この獅子心王リチャード1世の時代に生き,ジョン王の圧政に反抗した人物という設定がもっぱらのようだ。
本作は,リドリー・スコット監督のメガホンで,ラッセル・クロウがロビン・フッドを演じるとなれば,お軽いヒーロー活劇ではなく,堂々たる歴史ドラマだと想像できる。『グラディエーター』(00年7月号)でオスカーに輝いて以来,4回もコンビを組んでいる。『アメリカン・ギャングスター』(08年2月号)も『ワールド・オブ・ライズ』(同12月号)も骨太で重厚なドラマで,本欄ではともに☆☆☆をつけている。よほどお気に入りで5度目の起用となったのかと思えば,本作に限っては,ラッセル・クロウの主演が決まり,後からR・スコット監督が決まったようだ。
ロビンと愛し合うマリアン役には,『エリザベス:ゴールデン・エイジ』(同2月号)のケイト・ブランシェット。これまた,英国を舞台にした歴史ドラマなら,うってつけのキャスティングだ。この2人は,ともにオーストラリア出身だというのに,共演は初めてのようだ。助演陣には,ウィリアム・ハート,マーク・ストロング,ダニー・ヒューストンなど渋い面々の名前が並ぶ。
この種の歴史ドラマなら,しっかり時代考証がしてあるに違いないので,当時の衣装や建造物を眺めるのが愉しみだ。いくら古い建物が残るイギリスとはいえ,12世紀末のものは残っていないから,大掛かりなセットが組まれている。郊外ロケでもVFXの力を借りて,中世の城や村を再現しているに違いない。リドリー・スコット監督は昔からCG/VFXの利用に明るいだけあって,写真1などは素晴らしい出来映えだ。VFXの主担当はロンドンのMPC (The Moving Picture Company)で,Double NegativeやFramestoreと並んで,英国の過去の時代を描くことには長けている。12世紀のロンドン塔の描写などにも感心した。
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写真1 VFXの見どころは中世の城の再現(上:英国の城,下:仏国の城)。水面の船も当然CGだろう。
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終盤のドーバー海峡を渡ってイングランドの海岸に押し寄せるフランス軍の多数の船も,勿論CG/VFXの産物だ(写真2)。一昔前なら特筆に値する描写だが,『トロイ』(04年6月号) や『レッドクリフ』(08年11月号&09年4月号) を観てきた目には,もはや当たり前の描写のように映る。過去10年間のVFXの進歩に改めて感心するが,とてもこのレベルのVFXは日本では描けないだろう。他の部分でも大作らしい風格があり,それとマッチしたレベルのCG/VFXが使われている。
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写真2 急峻な崖も押し寄せた船もCGの産物
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終盤の浜辺での英国軍,仏国軍入り乱れての戦闘はかなり見応えがあった(写真3)。一体,この撮影に何台のカメラが使われたのだろう? 戦場を縦横無尽にカメラが動き回るのに,大きな手振れは感じなかったから,防振機能のあるウェスカムやステディカムが使われていたようだ。高い視点位置からの映像もあったから,大型クレーンやヘリからの撮影もあったに違いない。その多様な映像の中をCG製の矢が舞い,爆発の炎が描き込まれている。さすが,リドリー・スコットだ。 |
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写真3 終盤の浜辺での戦いは,ほぼ期待通りの出来
(C) 2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
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