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■『ウェイトレス~おいしい人生の作り方』  :女性監督が描いた女性のための映画だが,女性よりも男性がよく描けている。ダメ亭主,口うるさい店長,偏屈な老オーナー,ストーカー男,不倫相手の産婦人科医など,男性観察が見事だ。抜群に面白いが,感動は少ない。周囲との諍いがもとで,この映画撮影後にこの世を去ったと聞くと感慨深いものがある。合掌。
■『ナンバー23』 :久々のジム・キャリー主演作品。1冊の殺人ミステリーに記された出来事が現実化する不気味さと,運命の数字「23」にまつわる物語というだけで,脚本がウリの映画だと分かるだろう。畳み込むような台詞の連続,精神不安定な主人公の演技は,さすがジム・キャリーだ。難を言えば,映画通にはこの種の作品の結末が先に見えてしまうことだろうか。
■『マイティ・ハート/愛と絆』 :パキスタン国内で取材中のジャーナリストがテロリストに誘拐され殺害された事件を追う。夫人の手記を映画化したものだが,ドキュメンタリー色が強過ぎて抑揚が少ない。映画としては,もう少しメリハリの利いた脚色を加えた方が,感動も大きかったのではと思う。アジアでありイスラム社会であるカラチ市内の風景は印象的だった。
■『Onceダブリンの街角で』 :音楽を通して心を通わせる男女のラブストーリー。低予算映画だが,ダブリンの街の様子,惹かれながらも一線を超えられない男女の機微,音楽の収録風景がよく描かれている。ただし,女性観客からは「もうちょっと違う結末が欲しかった」との声が多かった。挿入曲は悪くないが,筆者には,主演男性の声がどうにも好きになれなかった。
■『俺たちフィギュアスケーター』  :騒動を起して追放された犬猿の仲の男子スケート選手2人が,ペア部門で復活するという物語。男子フィギュア・ペアなどという不気味な着想に恐れ入るが,それに見合う傑作爆笑コメディに仕上がっている。どう見ても全演技が吹替えじゃないと思ったが,主役2人はみっちりスケート特訓を積んだらしい。さすがハリウッドだ。ナンシー・ケリガンやサーシャ・コーエンが本人役で登場するのが嬉しい。荒川静香も出してくれれば良かったのに。
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