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■『ピンクパンサー』 :ピーター・セラーズの当たり役だったクルーゾー警部を,本作ではスティーブ・マーティンが演じる。生真面目なアシスタントのポントン(ジャン・レノ)とのかけ合いは好い味を出しているが,肝心のお馬鹿ギャグがあまり笑えない。ただし,何度聞いてもこのテーマ曲は名曲だなと感心する。
■『ロシアン・ドールズ』 :『スパニッシュ・アパートメント』(02)の続編で,5年後の出来事を描いた青春群像映画だ。洋の東西を問わず若い男女の悩みは尽きないが,じめじめせずに軽妙かつ洒脱に処理できるのは欧州だなと感じさせる。元彼女役のオドレイ・トトゥの出番が少ないのは残念だが,ウェンディ(ケリー・ライリー)は魅力的で,主人公と一緒に恋してしまう。
■『ナイロビの蜂』  :ジョン・ル・カレの国際サスペンス小説の映画化作品。ル・カレらしい政治的緊迫感と大人の愛の物語が見事なハーモニーを奏でている。アカデミー賞助演女優賞に輝くレイチェル・ワイズの好演はもちろんだが,それぞれの部門にノミネートされただけあって,脚本も音楽も素晴らしい。ケニアの貧困社会と雄大な景観のトゥルカナ湖の映像が目に焼けつく。
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