RESEARCH
Gr.4 研究紹介
ベクションに関する研究を行っています。ベクションとは、実際には自分が動いていないにもかかわらず動いているかのように錯覚する運動感覚のことです。様々な研究で、提示された映像に対する没入感やインタラクション、認知的要因がベクション効果に影響を与えることが示唆されています。

VR環境下での自己意識に関する研究を行っています。人は自分自身とそれ以外を区別することが可能であり、自分に向けた意識を自己意識といいます。
近年、VRは様々な場面でコミュニケーションツールとして活用が進んでおり、自己アバタを操作しながら、他者アバタとVR空間を共有する機会が増加しています。
現実においては、他者の存在によって自己意識が影響を受けることがわかっています。しかし、これまでVRにおいて他者アバタが自己にどのような影響を与えるのか検討されてきませんでした。そこで現実において他者の存在を知覚する要因が、VRにおいても他者アバタの存在から、自己アバタの自己意識に影響を与えるのかを確かめる研究を行っています。

"ライトタッチ"と呼ばれる1種の触錯覚現象に着目した実験を実施しています。ライトタッチとは力学的な支えにならない程度の触覚を指先に提示したときに、重心動揺が小さくなるという現象です。
これまで、開眼および閉眼時における本現象が確認されており、本研究室ではVR環境下における本現象の活用を目的として様々な形で実験を行っています。そして、本現象は視覚刺激と触覚提示を行う位置によってその効果が変化する可能性を明らかにしました。特に、視覚刺激の誘導と反対方向の位置に触覚提示を行うことによって本現象の効果が顕著にみられる可能性を確認することができました。
現在は触覚提示を行う際の姿勢や触覚の提示位置、視覚刺激との関係性などが本現象に与える影響やその変化などについて研究を発展させています。

身体表象に関する研究を行っています。身体表象とは自分自身の身体がどのようなものかというイメージや知識のことです。身体表象は視覚や体性感覚などの情報を統合することにより形成されており、日常生活での行動を決定する際に使用されています。
これまで、特定の身体部位の表示位置を変更した状態において、動かし方や動かす部位による身体表象の変化に与える影響を確認しました。
現在は一部の身体部位の表示位置を変更することで、全体の身体表象に与える影響が異なるかを確認し、身体表象形成のメカニズム解明に向けて研究を発展させています。

Hot-Cold Confusion に関する研究を行っています。Hot-Cold Confusionとは、温冷覚刺激を前腕の複数箇所に提示した場合に、温覚刺激を冷覚、冷覚刺激を温覚として知覚するという現象です。例えば、前腕の手首から肘にかけて3箇所に、数十ミリの間隔を空けて温度を提示したとします。その温度設定の並びを、高温、低温、高温と交互に並べた場合、手首や肘で高い温度を提示しているにもかかわらず冷たいと、中央で低い温度を提示しているにもかかわらず温かいと知覚することが確認されています。この現象のメカニズムを解明するために、提示の並びのパターンや温度差などの様々な条件を変更して分析を行っています。
これらの知見は将来的にVR環境やテレイグジスタンス技術における触覚フィードバックへの応用が可能であると考えています。
